カメちゃん日記・続編7 | ||||||||||||||
時代の変化を見下ろしてきた遊行寺大銀杏 | ||||||||||||||
銀杏の色ずく頃私は冬眠しました
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大銀杏のある風景 第二次世界大戦直前(小学生低学年でした)終戦前後(中学一年生)そして今、私の人生で三度この大銀杏に触れ合う時期があった。 |
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遊行寺 旧東海道の藤沢橋に隣接する赤い欄干の遊行寺橋を渡ると正面に黒門がある。そこから桜並木の参道「いろは坂」を登ると大銀杏のある境内に達する。正面に本殿、左側に中雀門があり、その先が書院で本堂と回廊で結ばれている。更に先は藤嶺学園だ。右側の門を出るとそこは箱根駅伝の難所の一つ遊行寺坂。道路の反対側に諏訪神社がある 黒門の看板に書かれているように正式名は時宗総本山・藤沢山無量光院清浄寺だが時宗の上人が「遊行上人」と呼ばれることから「遊行寺」と呼ばれている インターネットで検索すると、故事来歴が詳しく記されているので、無知の上塗りを避け、詳しい説明は割愛する。 |
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大銀杏の下で毎月二回「蚤の市」が開かれている。カメちゃんの冬眠した前日も賑わっていた。遊行寺は藤沢宿の火災、関東大震災などに見舞われ幾度も消失・倒壊の憂き目にあい古い建築物はほぼ消滅してしまった。この中雀門は安政六年(1859年)に建築され、今では境内で一番古い建物だ。 | ||||||||||||||
大銀杏が見おろしていた風景 その1・・古きよき時代の開山忌 | ||||||||||||||
遊行寺近くに生まれ、小学2年まで住んでいた。当時の大銀杏は高く聳え、多くの修行僧が行き来する境内を見下ろしていた。 | ||||||||||||||
近隣の住民にとって9月21~24日の開山忌は楽しい年中行事だった。山門から境内に向か参道の両脇は縁日の出店でふさがりそこでは参拝客用のお土産品ばかりでなく近郊の農民相手に農具や日用品を売る店が並び賑わっていた。境内に辿り着くと大銀杏を中心に東側に大きなサーカスなどの小屋、西側には小さな小屋がけが二つ建ち、娯楽の少なかった時代に盛り場のような賑わいであった。纏まったお小遣いがもらえるのはお正月と開山忌だけで、親も開山忌は奮発してくれた。50銭銀貨だ(円ではない銭です、今の500円硬貨以上の価値があった)を大切に小さながま口にしまって出かけたものだ。見せ物小屋は子ども15銭だ、サーカスは30銭くらいだった。5銭のハッカパイプを咥え使い道を考えながら祭りを歩き回って楽しんだ。第二次世界大戦の始まる直前で、物が豊富で人々は陽気で明るいよい時代だった。 | ||||||||||||||
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終戦前後 | ||||||||||||||
小学2年のとき戦争が始まり、翌年蒲田に工場を経営していた父親の通勤に便利なように駅近くに引っ越した。遊行寺とは駅の反対側で自然と縁遠くなった。それが、終戦直前に遊行寺に隣接する中学校に入学、朝夕大銀杏を仰ぎ見る生活になった。 大銀杏の下の景色も大きく変わっていた。上級生は学徒動員で軍需工場に、我々下級生は兵隊さんのお手伝いに時々かり出された。戦時下に優遇される馬術部に属していたので、動員を遁れていた。京浜地方を爆撃するB-29の編隊が大銀杏の上を次々と横切り、その都度、学校に残っている生徒達は遊行寺の裏山に避難した。 大銀杏の下を行き交う修行僧の姿は消え、時折兵隊が姿を見せていた。本土決戦の準備だと軍隊が駐在するようになったのだ。食糧難の時代で地方出身の兵隊が野犬を食べた話を聞いた。悲しい時代だった |
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そして敗戦 | ||||||||||||||
中学1年の8月15日戦争が終わった。今回の戦争では、遊行寺は幸運にも戦火をを免れ、その秋、大銀杏も例年通り色づいた。兵隊は消え修行僧が戻った。しかし、日本は降伏し占領下に入ったのだ、やがて、大銀杏の下にアメリカ兵が一人立つようになった。陽気なヤンキーで片言の英語で話かけると喜んで相手をしてくれた。彼がコンビーフの缶をあけそれが昼食だと知った時は驚いた。大銀杏もビックリしていたに違いない。 その後、駅の西側にある高校に移り、大銀杏と会うこともなくなった。 |
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三度大銀杏に近づく | ||||||||||||||
そして、20年近く経って所帯をもった時、遊行寺近くに家を建てた。しかし久しぶりに身近になった大銀杏は大きく変わっていた。昭和32年の台風で大きな幹が真ん中で折れ、高さが半分の痛ましい姿になってしまったのだ。それから半世紀近くが経ち、日本人も豊かで、明るい生活を楽しむようになた。丸みをおびた大銀杏は、参詣にくる幸せそうな人達を穏やかに見下ろしている。 | ||||||||||||||
以上です。文章が長く申し訳ありません。・・・無知の旅人より | ||||||||||||||
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